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目線の高さを合わせるということ

映画「カポーティ」を観た。
主演のフィリップ=シーモア・ホフマンの、その外見、声、喋り方、全体の雰囲気が、
トルーマン・カポーティ本人にあまりに似ていることで大きな話題になり、
オスカーの主演男優賞を取った。 脇役俳優として誰もが観たことのある彼が、
こうして主演としてきちんと評価されたことが個人的に嬉しかった。 
映画自体も丁寧に作られていて、よかったと思う。

大学時代、珠玉の短編集として名高い A Tree of Night(夜の樹)がどうしても
読みたくて、神保町のなじみの洋書専門店まで行って、3ドル50セントの
ペーパーバックを買った。 
その時は邦訳が絶版になっていて、原書で読むしかなかったのだ。

今でこそAmazonなどで簡単に買うことができるけれど、当時はパソコンも
インターネットも無かった時代だから、洋書を手に入れるのはかなり面倒だった。
それに今よりもっと円安だったから、値段も高かった。 この本だって、860円だった。
それでも、ペーパーバックが欲しい時に簡単に見つかったのは幸運だったのだ。
店に在庫が無ければ本国から取り寄せるしかなく、入手するまでに1か月近く
待たなければいけない、そういう時代だった。

でも、全部読み終わる直前になって新潮社から邦訳が復刊されて、なんだよー、
と思ったが、原文と読み比べてみて、ああ、この本はこうして原文で読んだほうが
よかったんだな、ということがわかった。

IMG_1306_convert_20121007093204.jpg

例えば、The Headless Hawk(無頭の鷹)という有名な短編の冒頭に、

A promise of rain had darkened the day since dawn, a sky of bloated clouds
blurred the five o'cloch sun ; it was hot, though, humid as tropical mist,
and voices, sounding along the grey July street, sounding muffled and strange,
carried a fretful undertone.

という文が何気なく出てくるけど、日本語にするとどうってことのないこの内容も
カポーティはこんな素晴らしい英文にしてしまうから、20数年経った今でも
このセンテンスが忘れることなく、記憶にしっかりと刻まれていたりする。
トルーマン・カポーティは、そういう作家だった。

そんなことを思い出しながら映画を観ている俺の横で、レオも真似して座っていた。

IMG_1300_convert_20121007093041.jpg


子供の頃は腹や脚の上に乗っかってきてそのまま眠るような仔だったが、大人になると
野性の警戒心が出てきて、身体の上に無邪気に乗るようなことはなくなり、
俺の様子を窺ったり、何かをする時はこちらに同意を求めるようなそぶりを見せることが
たまにでてきた。 小さなこの仔に175cmの俺は大魔神のように見えるだろうから、
まあしかたないと思う。

でも、ソファーに座って映画を観ている時は目線の高さがあまり変わらないせいか、
安心して傍に来る。 だから、時々、床に腹這いになって、部屋の中を見渡してみる。
この仔の眼に、この世界がどう映っているのかが知りたいからだ。 

目線を変えることで、普段は気が付かない危険な場所がわかるかもしれないし、
俺の姿がどのように見えているかもわかるような気がする。
そうすることで、この仔の気持ちにもっと近づけるような気がする。


IMG_1126_convert_20121007134238.jpg
                      【 地べたは気持ちいいー 】



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Comment

katze

目線を合わせると同じ部屋でもちがって見えますよね。
私もよく床に寝そべってふたりと時間を過ごしたりしています。
見慣れたタワーも、そびえたつ城って感じですし
室内干しした洗濯物は風に揺らぐおもちゃにしか見えませんね。
猫ちゃんたちが興奮する理由がわかります。
確かに立っているときよりも床に座っている時の方が寄ってきますよね。
顔が近くにあると安心するのかなって思ってます。

がぽりんご

英文を日本語に訳すると、何だか印象が違ったりすることってありますよね。
表現上、順番がどうしても前後してしまうし、
会話だと一人称や語尾が気になったり・・・。

でも、オリジナルで楽しめるリアノンさん、うらやましいです☆

レオ君、地べたホントに気持ちよさそうですね。
お顔が、お目目細めてすっごくリラックス顔になってます~。
ニャンコ目線、大事ですね!
ニャンコ目線で低くなると・・・床のよごれがよくわかって、すぐ掃除しました~(って、そういうことじゃないですよね笑)
そういえばうちの子(ソマリ)は正座して頭を床につけると、必ず隙間からもぐってきて口を舐めようとします~。
  • URL
  • 2012/10/11 01:53

リアノン

katzeさん、こんにちは。

地面近くから部屋を見ると、狭い部屋も異様に大きく見えます。
猫は経済効率が高くていいです。

目線を変えるというのは、大事なことだと思います。
いろんなことがわかります。

  • URL
  • 2012/10/13 09:56

リアノン

がぽりんごさん、こんにちは。

床に寝そべると、床の汚れが本当によくわかりますねえ。
私は近眼の上に老眼も入ってますので、普段の生活では床に落ちている
埃や猫の毛なんかにはほとんど気が付きません。

脚の隙間から潜ってくるなんて、かわいいですね。
人の口を舐めようとするのは、深い信愛の情なんだそうです。

英文には英文の美点が、日本語には日本語の美点があります。
それぞれを独立して味わうのが、やっぱりいいと思います。
  • URL
  • 2012/10/13 10:12

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プロフィール

リアノン

Author:リアノン
独身男の一人暮らし。

猫と暮らしたくて、一人で寂しい思いをしている子を、と思い里親募集に申し込んだら、一方的に断られた。

一人暮らしの男に猫と暮らす資格はあるのか? 

これが、このブログのテーマです。

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