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アフター・ザ・レイン

6月なのに、台風が上陸した。
日本列島の北側と南側に高気圧があり、その間にちょうど道ができている。
そこに招かれるように、台風はやってきた。

ただ、家が暴風雨に巻き込まれたのは俺が帰宅した後だったので助かった。
大型でとても強いが速度が速いので、明け方には関東地方を抜けていった。

22時頃から外では激しい風が吹き荒れ、轟音が鳴り響いた。
テレビの音が聞こえなくなるほどの音だ。
レオはそのたびにイカ耳になって、移動する音の軌跡を目で追いかけた。

人間はこれが台風の風の音で、数時間後には納まるのを知っているが、
猫はそんなことを知る由もなく、怯えるしかない。 そう思うと、不憫だった。

晩御飯が終わり、遊び終わると、いつもは1人で静かに眠るのが好きなのだが、
この日は遊び終わっても俺の傍から離れず、書斎の机の上で眠っていた。
その姿を見ながら、いつだったか停電になった時のことを思い出した。


ある雨の日、仕事から帰って、風呂から上がってドライヤーで髪を乾かしていた時に、
バチン、と音がして、家の中が真っ暗になった。
うちは多めの電気量で契約していて、ドライヤーくらいでブレーカーが落ちたりしない。
なんだよ、一体、とブツブツ言いながら廊下に出ると、家の中が異様に暗い。
なんかおかしいな、と思って外を見ると、街中の電灯が消えていた。
停電だった。 雨で街一面がぼんやりと煙っていた。

すぐにレオが大きな声で鳴き始めた。 いや、泣き始めた。
家中の部屋を順番に廻り、窓から外を見て、泣き続けた。

俺は手探りで書斎まで行って懐中電灯を探した。
すぐに手に取れる場所に置いてあるのだが、そもそも家の中の移動がままならなかった。
やれやれ、もっとたくさんあちこちに置いておかなきゃいけないということだな。

「大丈夫だよ、泣かなくていいんだよ」と声をかけ、何度も何度も撫でてやった。
それでも、レオは泣き続け、玄関のドアの前に行ったり、廊下をうろうろと歩き回り、
俺の足下に来ては身体を摺り寄せた。
いつもと違うあたりの様子に、怖がって怯えていた。

俺はリビングの床に座って、灯りがつくのを待った。
しばらくすると、レオも落ち着いてきて、俺の傍に座った。
「早く電気がつくといいね」と言って、撫でながら一緒に待った。


いつもと違うことが起こった時、こうやって傍にいてやれるといいんだが、と思う。
暴風雨の音では泣いたりはしなかったが、それでも俺の傍に居ようとしてくれる。
こんな俺でも、頼りにしてくれるのだ。
その夜は、文字通り、2人で肩を寄せ合って過ごした。

翌朝は、風はまだ強く吹いていたが、雨はすっかり上がり、空は汚れが全て
どこかへ吹き飛ばされて、真っ青に晴れ渡っていた。

レオを後ろから抱き上げて、窓から空を見せてやった。
「ほら、きれいな青空だ」と言うと、レオは俺の顎に小さな頭をくっ付けて、
俺の顔を見上げた。



IMG_0794_convert_20120624145158.jpg



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あっさむ

台風が行ってしまった後の蒼い空が好きです^^

猫を抱っこして空を見上げると
雨が降っていることすら特別なことのように思えます
ニャンコの瞳にはどう映っているんだろうって気持ちになりますよね

外にいるときに天気が豹変してくると
家にいる猫のことがとても気になってしまうし

レオくんとのやりとり
とっても好きなんです
いつもありがとうございます
  • URL
  • 2012/06/24 21:21

ミシェル

去年の地震のときを、
思い出しました。
さぁちゃんがいなくって、
お家はずーっと揺れていて、
怖くて動けなかった次の日、
さぁちゃんが抱きしめてくれると、
数秒でぐーっすり眠ることができたんです。

あれ以来、さぁちゃんはボクと長時間離れたがりません。

台風ってやつは、
ボクは怖くありませんでした。
この頃たまにある地震だって、怖くありません。
いつだって、さぁちゃんが居てくれるからです。

怖いのは、
肩を寄せ合える誰かがいないことです。
  • URL
  • 2012/06/24 23:27

あおい

台風、まだ先週のことなんですね。なんだかはるか以前のことのように感じていました。

サラさんは台風は全く動じていなくて、カーテンの中に入って窓からじっと外を見ていました。あの地震以降に生まれたからなのか、もともと脳天気なのか、肝が太いのか、去年も今年も台風に怯える気配はありません。
風が窓を叩くと、何!?何!?とワクワクしているようで、むしろ飼い主のほうがビクビクしながら、「サラさん大丈夫だよ」と撫でながら自分を落ち着かせている始末です。


レオくんは普段が落ち着いた変わらない日常を過ごしているからこそ、日常と違うことに敏感なんでしょうね。ソマリは神経質なほど繊細な種類といいますが、レオくんをみていると本当にそう思います。

レオくん、いつも変わらない日常を与えてくれるリアノンさんがいてよかったね。
  • URL
  • 2012/06/25 09:10
  • Edit

kakobox

この記事には、なんだかウルウルきてしまいました。
あの台風の日、レオ君のいるそばで一番ひどいときを過ごせてよかったですね。
レオ君、イカ耳になって警戒していたということは、よほど怖かったのでしょう。
お外の暮らしのない子だから、自然災害への怖さが、しろちゃんとはレベルが違うのかしら。
停電の日の出来事になんともウルウルです。
「家中の部屋を順番に廻り、窓から外を見て、泣き続けた。」
この時のレオ君の気持ちを思うと、母性本能なのかな、いたたまれない気持ちです。
動物の感じる恐怖には、理屈ってないですものね。
なぜ停電かと考えることがなく、いつもと違う様子に対する本物の本能的な恐怖なのですよね。
猫ちゃんには、毎日毎日なぞったように同じ日々が続くことが、一番の幸福なのだといわれますが、本当ですね。
変わった楽しみ、変わった喜びなどいらなくて、退屈でもいいから、同じ環境同じ明日がくることが、一番なのだと…。
人間の生活の都合上、なぞったような同じ日々を実現できないこともあるわけで、そのようなとき、どう納得させ、どう理解を得るか。
私にとっては課題です。

レオ君、翌朝には、抱っこで青空を見せてもらって、よかったわね。
猫ちゃんが身体の一部をくっつけてくるときには、日本語では一言の表現がないですが、「yes」なのだそうです。
今日のレオ君はどこか幼い♪
端整でクールにみえるのに、お顔がどこか幼い…それがレオ君という猫ちゃんの性格なのでしょう。
首輪は、やっぱり無理そうですね。

リアノン

あっさむさん、こんにちは。

猫を抱っこして空を見上げると、いろんなことが特別なことのように思える。

本当に、そのとおりですね。

素晴らしいフレーズです。
  • URL
  • 2012/06/26 17:24

リアノン

ミシェルくん、こんにちはー。

愛しのさぁちゃんに抱きしめられると、こわいことなんか全部忘れて
すぐに眠れるんですね。
すごいことですよね、そういうのって・・・・

ミシェルくんは、さぁちゃんがいるから、こわいことは何もないですねー。
おいしいご飯よりも、安全なマイホームよりも、まずは、さぁちゃんです。
  • URL
  • 2012/06/26 17:47

リアノン

あおいさん、こんにちは。

さらさん、台風が平気なんですか。 すごいですね。
そういえば、病院に通うために外に出たりと、この世界に順応してますよね。

生き物にとって外界や環境に適応していくのは生死に関わる、重要なことです。

そりゃあ、台風なんて滅多にやっては来ませんが、いちいちビビっているようでは
本当はよくないんだと思います。

少し甘やかしすぎなんでしょうか?



  • URL
  • 2012/06/26 18:48

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • 2012/06/29 10:50

リアノン

kakoboxさん、こんにちは。

毎日変わらない日々、というのは現実的には無理な話です。
また、仮に人間にはそう見えても、敏感な猫には小さな違いが大きな意味を持つ
という場合もきっとあるんでしょう。

何があったとしても、この家にいれば絶対大丈夫、と思ってもらえるように
なりたいです。
  • URL
  • 2012/06/30 11:33

ミーコ

はじめまして。夕べたまたまこのブログを見つけて、一気に全て読みました。共感する文章が幾つもありました。昨日里親探し中のねこちゃんたちに出会ったのですが、目はするどく見せ物のようでいたたまれなくなりその場を離れてしまいました。そんな日の夜にレオくんのブログに出会えて嬉しいです…と長文失礼しました。これからも楽しみにしています。
  • URL
  • 2012/07/01 08:22

リアノン

ミーコさん、こんにちは。

街中でやっている里親探しのかごの中の猫を見るのは、つらいですね。
いたたまれなくなる、というのはとてもまともな感覚だと思います。

人間を信じられなくしたのは、ほかならぬ人間です。
我々は、謙虚になるべきです。

更新の遅い、拙いブログですが、今後ともよろしくお願い致します。
  • URL
  • 2012/07/01 11:34

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プロフィール

リアノン

Author:リアノン
独身男の一人暮らし。

猫と暮らしたくて、一人で寂しい思いをしている子を、と思い里親募集に申し込んだら、一方的に断られた。

一人暮らしの男に猫と暮らす資格はあるのか? 

これが、このブログのテーマです。

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