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雨の日はチェット・ベイカーを聴きながら

関東もいよいよ梅雨入りした。 これから1か月、雨の日が続く。
街はぼんやりと煙り、灰色の空と境界線を失って遠く淡く混ざっていく。

くせ毛の髪が湿気ですぐにくしゃくしゃになってしまうので、雨が本格的に降り出す前に、
金曜日は早々に仕事を切り上げ、髪を切りに行った。 

もう10年以上通っている美容室で、おっさんがこんな小ぎれいな美容室に
いつまでも通っていいのかなと思うが、長年担当してくれている美人のおねえさんは
俺のやっかいな髪質をよく知っていて、欠点をうまく補ったカットをしてくれるし、
余計な話をせず静かに接してくれるので、どうも店を変える気になれない。

家に帰ると、いつもと違う髪の匂いをかごうと、レオはタワーに上って両手で
俺の頭を抱え込み、顔を髪の中に突っ込む。 いつまでも匂いをかぎ、
髪を舐めたり齧ったりしている。 彼が飽きるまで、俺はじっとそのまま待つ。


土曜日は、朝から雨が降っていた。 湿った空気はひんやりと冷たく、少し肌寒い。

雨の日は、レオもなんとなくおとなしいような気がする。

俺の起きる時間がいつもより遅いと、今日は休日で遊んでもらえるのがわかるらしく、
いつもならまとわりついてくるのだが、昨日は床に寝転んでいた。

午後になっても外は明るくならず、家の中も薄暗い。
レオは、床に置いた紙袋の中に潜って、1人で静かに遊んでいる。


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出ておいで、遊ぼうよ、と声をかけても目を細めて返事するだけで、気のない様子だ。
俺も外に出る気にならず、所在なくソファーに座っていた。
お互い、冴えない感じだった。

バルコニーに出て、エアコンの室外機の上に置いてある小さな皿に小鳥の餌を入れた。
その横には小鳥用の巣箱が置いてある。 その中にも餌を入れる。

これは、レオのためにやっていることだった。
バルコニーに小鳥が来るようになれば、レオがきっと喜ぶだろう、と思って始めた。
尤も、本当に小鳥が来ているのかどうか、よくわからなかった。 
皿に入れた餌はいつも無くなっていたが、小鳥が食べているのかもしれないし、
それとも風で飛ばされているだけなのかもしれなかった。
それでも、俺は懲りずに続けている。 
少しでもレオが喜んでくれたらそれでいい、と思って。


ターンテーブルにチェット・ベイカーの古いレコードを載せて、真空管が温まるのを
少し待って、レオと2人で聴いた。
1955年にチェットが単身パリに渡って録音した、古いレコードだった。
物悲しい Sad walk という名のバラードが、雨の日の午後にはよく似合った。


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ミシェル

余計なことを話さず髪質を理解している、
感覚と腕を持っている美人な美容師さんなら、
美容院を変える理由は皆無だねって、
さぁちゃんが独り言を言っていました。

ボクは美容院に行くとなると、
さぁちゃんの髪を切るより高いそうなので、
連れて行ってはいただけません。

紙袋の中のレオさんのお顔やお手てと、
影の加減が絶妙ですね。

雨の日を楽しむために、
さぁちゃんは、雨の歌を集めてぷれいりすとってやつを作っていました。
ボクは、
雨の音を聞くのは好きです。
  • URL
  • 2012/06/17 23:07

リアノン

ミシェルくん、こんばんはー。

私の散髪代は4,500円で、これは10年以上、値上げされてません。
偉いなー、企業努力してるなー、っていつも思います。
女性のカットやパーマの値段は、もしかしたら上がってるのかもしれませんが。
男の客はおそらく稀なので、値上げしなくても、大勢に影響ないのかもしれません。
今や1,000円で散髪できる時代、美容院も生き残りに大変で、気の毒です。

雨の歌、というのは、古今東西、たくさんありますね。
雨というやつは、人を詩人にするんですかね?


  • URL
  • 2012/06/17 23:30

がぽりんご

リアノンさん、こんばんは。

我が家は雨の日も、にゃん達は変わらず元気です。
田舎なので、家の周りは田んぼで今は田植えのため水が張り、もうカエルの大合唱で、虫もわんさか飛んでいるからなのです。
レオくんの、前に突き出した足とクルクルの目がかわいいですね。
小鳥、飼ってるのかと思いました。
バルコニーに小鳥、ステキですね。ぜひ来ているところをみつけてほしいなって思いました。
  • URL
  • 2012/06/18 01:00

kakobox

雨の日に、髪型が変わってしまうクセ毛の方は大変ですよね。
男性のほうが、理容師さん美容師さんに対するこだわりは強いように感じます。
女性は、髪型が変わることも一種の楽しみなのですが、男性は黙っていても、いつもと同じ風にしてくれる美容師さんを見つけることが、一大事だったりするのでしょう?

私は雨の日が好きなので、梅雨って嫌いではないです。
起きて、雨だったりすると、うれしくなるほど好きなのです。
雨の匂い、雨の音、雨の日にしか似合わない、本、音楽…。
チェット・ベイカー、渋いですねえ。
「My Funny Valentine」も、雨の日にしか似合わないような気がします。

わがしろちゃんは、雨の日には、生物学上のセオリーどおりに大人しいですよ。
大人しいというより、昼間に眠る時間が長く、自分の時間がたくさん持てることが、私は助かってます。
元が野良猫さんだから、野生の血が濃いのかしら。
紙袋の中のレオ君は、雨の日の憂いそのままのお顔をしてますね。
小鳥のための巣箱と餌、置く気持ち、わかります。
私も3年前まで戸建てに住んでいた頃は、しろちゃんのために、木の洞に餌を置いたりしました。
今は、小鳥が飛んでこない高さとなって、鳩さんだけがしろちゃんのお楽しみ。
鳩はベランダにとって被害のほうが多く、猫ちゃんにもクリプトコッカス菌が有害なのですが、しろちゃんがとても喜ぶので、餌こそ置きませんが、ベランダを鳩のために解放しちゃった感じです。
ベランダに人が出ないと知った鳩は、毎日来ますよ。
しろちゃんは窓の内から、威嚇もしないで、せっせと話しかけています。
その声が、本当に優しい誘うような声であり、ああ、友達が欲しいのだなと、ちょっと悲しい気持ちにもなります。

ジャケットの上のレオ君を見て思いました。
リアノンさんも、よもやこのジャケットの上に猫の乗る日があることを、想定していなかったのでは?
しろちゃんが登場する前に、自分が大事にしていたものの上にしろちゃんが乗るのを見ると、不思議なコラボ感を感じます。
台風は被害がなかったですか?
レオ君は怖がらなかったかしら?

リアノン

がぼりんごさん、こんにちは。

そうか、もう田植えの季節なんですね。 
あの独特の匂いを思い出します。 カエルの声も。
都市部に住んでいると、もう何年も忘れてしまっている風景や匂いです。
日々の忙しさに追われているうちに、忘れてしまっていることが如何に多いか、
ということに気が付きました。

小鳥、来てくれるといいなあ、と思います。
そしたら、レオもきっと喜ぶのになあ。
  • URL
  • 2012/06/23 17:32

リアノン

kakoboxさん、こんにちは。

私は、休日の雨は割と好きですが、平日の雨は大嫌いです。
髪がぐしゃぐしゃになって、スーツがよれよれになってしまうからです。
勤め人の哀しい習性ですね。

私の担当の美容師さんは、私が座ると「いつもぐらいの感じですか?」と訊いて、
私は「いつもくらいの感じで。」と答える。 大抵、会話はそれくらいです。
よく考えると、ちょっと不気味ですよね。

しろちゃん、怪我の具合が心配ですね。
猫の怪我は、何が原因だったのかを特定するのが難しい。 
なにしろ、しゃべってくれないですからね。
早く良くなってくれるよう、祈っています。

  • URL
  • 2012/06/23 18:42

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プロフィール

リアノン

Author:リアノン
独身男の一人暮らし。

猫と暮らしたくて、一人で寂しい思いをしている子を、と思い里親募集に申し込んだら、一方的に断られた。

一人暮らしの男に猫と暮らす資格はあるのか? 

これが、このブログのテーマです。

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