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深夜の3時にネコ缶を買いに行く、ということ。

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深夜3時にフィリップ・マーロウは猫に起こされる。 猫は空腹だった。
台所へ行くと、いつものカレー・ブランドのネコ缶がきれている。
「スペシャルメニューを作ってやるからな」と、冷蔵庫から得体のしれない缶詰と
生卵を取出し、皿に盛って、塩をかけて、猫に出してやる。 
でも、猫は匂いを嗅ぐと、いらない、と皿を台の上から突ついて下へ落とす。

ブツブツ文句を言いながらも、ジャケットを羽織り、ネクタイを締め、車に乗って
いつもの深夜営業のスーパーへ行く。
すると、カレー・ブランドのネコ缶は売り切れだった。
通りかかった店員を捕まえて、訊く。
「カレー・ブランドのネコ缶は?」
「売り切れだから、そっちのでいいだろ。どれでも一緒だ」
「猫を飼ったことないのか?」

家へ戻ったマーロウは、すぐ台所へ入り、扉を閉める。
買ってきた缶詰を開けて、空のカレー・ブランドの缶詰へ中身を移し替えて、
蓋を乗せて、買い物袋の中へ入れる。

扉を開けて出てくると、猫は待っている。
「一服したら、エサをやるからな」と煙草に火をつける。

台所に戻ると、猫は喜んでついて行く。
鼻歌を歌いながら紙袋からカレー・ブランドの缶詰を取出し、缶切りで開けるマネをし、
「さあ、いつものカレー・ブランドだぞ」と皿に盛りつけて出すと、
猫は匂いを嗅いで、そっぽを向く。
「やっぱり、これじゃダメか?」と訊くと、
猫は鳴きながら、お手製の段ボールでできたネコドアをくぐって家から出ていく。



「ロング・グッドバイ」はかなり長い話だし、チャンドラーの小説は意外に難解なのだが、
それにも拘わらず、映画の開始早々、こんなシーンが10分以上も続くのだ。
チャンドラーの原作にはこんなシーンはもちろん出てこないわけだが、
マーロウの自由だが孤独な生活の様子や、事件の闇に否応なくはまっていく原因になる
彼独特の情の深さが、ここに見事に描写される。

深夜の3時にネコ缶を買いに行くのにネクタイを締めて行く、というのがとてもいい。
1度こういうのをやってみたいなと思うけど、俺は深夜の3時にネコ缶を買いに
行ったりしない。
なぜなら、急に1か月間家を空けても全然大丈夫なだけのカリカリと缶詰を
ストックしているからだ。
ハードボイルドにはいくつになっても憧れるけど、我が家の猫も深夜のコンビニで
買ってきた缶詰は食べてくれないだろうし、そうなると俺もその後眠ることなんて
できなくなってしまうに決まってる。



チャンドラーは大の愛猫家で、「タキ」という名前の黒いペルシャを飼っていた。
日本語の「竹」からとった名前だが、人からその意味を聞かれた時に、
これは英語では「Bamboo」の意味で、「タケ」と発音する際はシラブルを2つに
分けなければいけない、といちいち説明するのが面倒になったからだ。
旅行に出て帰ってきたら、怒って2日間も口を聞いてくれなかった、と知人に嘆いている。
大事にされたので、タキは20歳近くまで生きた。

チャンドラーは、村上春樹訳ではどうもしっくりこない。 
やっぱり、この清水俊二訳でなければいけない。


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リアノン

Author:リアノン
独身男の一人暮らし。

猫と暮らしたくて、一人で寂しい思いをしている子を、と思い里親募集に申し込んだら、一方的に断られた。

一人暮らしの男に猫と暮らす資格はあるのか? 

これが、このブログのテーマです。

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